上演作品のご紹介


舞台紹介


創立50周年記念作品

劇団静芸 清水公演

演目  :『巴川界隈』二幕6場

精霊送りの燈籠流しの夜
芸者置屋・小料理屋・遊廓が軒を連ねる
三業の地といわれた巴川のほとり
女は幼い日々をふりかえる
敗戦を境になにが変わり
なにが変わらなかったか
母への鎮魂をこめて
激動の戦後史をたどり
生の原点をさぐる ―――
  

当劇団の座付き作家
小島真木”による創作劇



主催

静岡県立清水西高等学校第42回生(昭和30年卒)同窓会

後援

静岡県清水市教育委員会
静岡県立清水西高等学校
静岡県立清水西高等学校同窓会


 
静岡県清水市の市街地を流れる巴川(ともえがわ)。戦後まもない激変する時代の中、巴川界隈の三業地を舞台に繰り広げられる芸者達の人間模様。芸者という社会の内側から見た世界を舞台に描かれた、日本初の作品です。
上演日【開演時間】:
2001年11月24日(土)
2001年11月25日(日)
【18:30】
【13:30】
公演舞台会場:
清水市民文化会館(中ホール)
入場券:
一般 2,000円



  • このスタッフ・配役表は平成13年11月24日・25日上演された時のモノです
  • 役名あたまに○の付いているのは、すべて男役となります

巴川(柳橋近辺)
夕暮れの巴川(柳橋近辺)
『巴川界隈』ス夕ッフ(敬称略)
小島真木
演出
伊藤幸夫
舞台美術
大石治孝
照明
山口久雄(山口オフィス)
音楽
福島尚哉(池田山音楽工房)
音響効果
湯上愛子
小道具
中川雄太
鶴田
結髪・メイク
鈴木英子
太田圭子
大道具制作
飯沼司郎
佐塚泰男
矢合ちひろ
舞台監督
岡島元男
舞台写真
西原寛(くりえ)
制作
山崎三郎




役名
役者(敬称略)
丹下幸子
芸者1
萩 真美子
芸者2
北村和枝
芸者3
大滝明美
とし子
本目真知子
○望月
伏見 滋
はな
生井節子
西岡いつ子
千紗
小川伊紗奈
鈴木幸子
○津島
山崎三郎
菊奴
鈴木幸世
○昭夫
伊藤 瞬
○萩原
小原輝夫
則子
渡辺渚月
女客
久保田ふじ恵
福代
村松麻美子
八重
餅原伸美
きみ
水野智子
○水野
森下 勇
○堀田
中川正臣
たき
新村みさ子
宮島百代
○板前
海野陸司



『巴川界隈 清水』公演プログラムより抜粋

ご挨拶
 劇団代表・演出:伊藤幸夫

 作者小島真木の同窓生の皆様の熱いご支援をいただいて、「巴川界隈」清水公演を実現できましたことを心より感謝申しあげるとともに、現地での上演ということで、不安と喜びでいっぱいの心境です。
実行委員会立ち上げの時点では、二回上演はとても無理ではないかと不安の想いがありましたが、一ケ月前のいま、二回とも満席とのことで、実行委員会の皆様のエネルギーの爆発にただもう驚嘆するばかりです。
劇団としては観客の皆様の期待にこたえる舞台をなんとしても創りあげねばならないと、燃えに燃えております。
演劇は 作者、観客、上演者の三つ巴の生き生きとした交流によって創造される、瞬間のナマの芸術です。
その瞬間を体感できることへの期待に胸をおどらせています。
 劇団静芸は昭和二十三年(一九四八年) に発足、以来五十数年地域劇団としての歴史を重ねてきました。
この道は決して平坦なものではなく、毎公演危うい綱渡りの公演を続けてきましたが、「地域に根ざす演劇創造」の柱を守り、多くの観客にご支援をいただいたからこそできたことだと考えております。
「巴川界隈」 はその頂点に立つものだと自負しております。
地域に密着し、人々の暮らしを見つめ、人々の心を深く掘りすすめていけば、必ず普遍に達すると思われます。
人間の真実をわかりやすく、生き生きと描き出す舞台をめざして精進していきたいと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。

『巴川界隈 清水』公演プログラムより抜粋

巴川雑感
 劇作家:小島真木

 今ではその場所も思い出せないのだが、沼のような湿地から、一筋の細い流れが出ている。友人から「これが巴川の源流だよ。」と教えられて、思わず「嘘だ!」と叫んでしまった。
 巴川は、清水の山の中から流れ出ていると固く信じ込んでいた、少女時代のことである。これがあの巴川の源流であるはずがないと、怒りに近い感情で思った。
 富士山は、清水周辺でしか見られないと思い込んでいた子供の頃と同じ種類の思い込みに過ぎないのだが、今でも静岡市内を流れている川幅の狭い巴川を見ると、この川が清水を流れているあの巴川なのだということが、信じられない気持ちが残ってしまう。
 今私の持っている巴川についてのイメージは子供の足で辿り、その視野でとらえられる限りのものでしかないだが、少し川幅の狭い上流に行くと材木や合板の会社があり、そこから少し下ると瓦がずらっと干してある瓦屋が続く。向こう岸に古い遊廓の建物が見えるあたりを下った稚児橋から柳橋、大正橋付近が下町で、「巴川界隈」の舞台になる゛私の巴川゛のエリアに入る。
 そこをずっと下った清水の次郎長の生家近くを流れる巴川は、昔の船頭衆の町の面影を残して釣り船がもやっていたり、河口に近い潮の匂いもする。
 川は、流れる畔の自然や人々のくらしに彩られて変化し、様々な相をみせる。街の真中を流れる巴川については、どの辺りに住んでいたかという事で、その川に抱くイメージはそれぞれ異なってくる。
 私の記憶に残る巴川は、その周辺の下町のくらしを映した巴川の一つの断片にしか過ぎないのだろう。
 そして、川と共にその界隈にくらしていた人々の記憶も、その人々の生の一瞬のきらめきに過ぎないのかもしれない。
 ゆるやかな巴川の流れのように、一片の生の感触を私の中に残して深い闇の中に消えて行った人々の姿を、余白の少なくなった私のいまの地点で書き留めておきたいと思った。
 ゆるやかな巴川の流れは、人々の歩き去っていく生のリズムを刻んでいるように感じられる。